羊文学の「光るとき」は世界の美しさを説明した初めての曲なんじゃないか?

去年から羊文学にはまっている。そして今年に入って待ちに待った「光るとき」の配信が始まったので聴いている。何回か聴いているとスッと体の中に入ってくるフレーズがある。サビの「何回だっていうよ 世界は美しいよ 君がそれを諦めないからだよ」というところだ。自分は今まで諦めていたんだなと、何だか納得させられた気分になる。

ここでふと、「世界は美しい」というありふれたフレーズなのにどうしてこんな良さを感じるのか考えてみる。それはやっぱり、「君がそれを諦めないから」という理由が力強く与えられるからだと思う。個人的に「世界は美しい」という表現はこれまで、「世界の美しさを無条件に受け入れる」「世界の美しさに急に気づく」「世界は美しいことを根拠として主張を述べる」パターンが多かったんじゃないかと思っている。そこで世界の美しさの理由に言及した歌詞が今まであったのか検証してみる。

検証データ

歌ネットというサイトからクローリングして歌詞を集めることにした。最初は全歌詞を収集して「世界は美しい」というフレーズを含む歌詞を抽出しないといけないかと思っていたが、歌詞の全文検索ができたので「世界は美しい」というフレーズを含む歌詞だけに絞ったあと収集した。一気に歌ネットが好きになった。対象の歌詞は74個存在した。

検証方法

対象歌詞の中で、「世界は美しい」というフレーズを含む段落を抽出する。その段落に対して形態素解析を行い、接続助詞が存在する段落を理由を表す可能性があるとして抽出する(接続助詞には「から」や「ので」など理由を表す助詞が存在するので)。ただし、頻出かつ理由を表さない次の接続助詞のみ含む場合は除外した。, , , , , 。ここで抽出された歌詞について、「世界は美しい」理由を説明しているか目視で確認する。(もっと良い方法もあった気がするけど思いつかなかった…)形態素解析には Sudachi (SudachiPy) を使用した。

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結果

上記の方法で抽出された歌詞は、23個存在した。ここからはひとつひとつ歌詞の中身を見ていく。

まずは羊文学の「光るとき」。これは言わずもがな理由が説明されている。問題は他にもそんな歌詞があるかどうかだ。確認したところ、何と他にも普通に存在した。それぞれ、工藤晴香の「アナタがいるから」、忘れらんねえよの「美しいよ」、摩天楼オペラの「ICARUS」、かりゆし58の「アイアムを」、DEENの「レールのない空へ」だった。

理由を細かく分類すると、「アナタがいるから」と「美しいよ」は美しさが「あなた」という特定の誰かに依存するものであり、「ICARUS」と「アイアムを」、「レールのない空へ」は美しさに普遍的な理由を与えたものだった。「光るとき」も後者であり、つまり同じように「世界は美しい」理由を説明している曲は4曲あり、「光るとき」が初めてというわけでもなかった。

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おわりに

もしかしてと思った仮説を検証してみたが、別にそんなことはなかった。まあでも別にそんなことはどうでもいいのだ。「光るとき」が良いという事実は変わらない。気になったらぜひ聴いてみてもらえると嬉しい。

そして最後に、同じフレーズに言及している記事を見つけたので参考にリンクしておくことにする。

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